電力自由化は大失敗

今まで日本の各地域で独占的に事業を行う代わりに、責任をもってその地域の電力を安定的に供給して来たのが電力事業の特徴である。これを自由化(民営化)してしまうと、電力事業が利益優先の形態になり、例えば持っているだけでコストがかかる発電所を無くす(現に、予備の火力発電所が廃棄されている)ことなどに繋がり、日本の電力の安定供給ができなくなってしまうことが不安視されている。実際に、過去に電力自由化を推進した外国で上手くいっている事例はないらしい(電気料金が安くなることもない)。

これは、利益を優先させるためには電力の安定供給を犠牲にする必要があるからである(通常、利益生と安定性は両立しない)。確かに経営的には合理的な判断かもしれないが、日本人の生活基盤である電力などのインフラは、本来利益など関係なく安定的に供給されるべきだろう。鉄道や水道などのインフラ然り、民間が利益を求めて行う事業とそうではない事業をしっかりと考えなければならない。

これに限らず、「自由化」「新自由主義」などの「自由」という言葉の良いイメージに惑わされず、その内容を解釈して判断する必要がある。


参考動画と要点のメモは以下の通り。

(メモ)電力自由化は大失敗
  • 「規制緩和だ」「自由化だ」と新自由主義が叫ばれ、電力事業を自由化(民営化)することが進められている。
  • 今までは電気は地域独占でやってきた。その代わりに責任もって国民に安定した電源を供給するという約束をしている形。
  • 発送電分離ということで、新電力の参入を促し、消費者が低コストで安定した電力を得られるようにということだった。私はこれに大反対した。これをしたら、誰が地域の電力供給を保証するのか、とう大問題が起こる。
  • 電気の場合は、発電の量と使う量のバランスが崩れると全部停電しちゃうという特殊な事業。なので電力会社の人たちは今どのぐらいの電気が使われているかを見極めて事業を行っている。
  • ものすごくデリケートな事業っていうのが電力事業の特徴だから、独占事業として責任を持たせて安定性を確保していた。
  • 予備の火力発電所がどんどん廃棄されている。利益を考えればいらないものを捨てるのは正しいが、安定供給はできなくなる。
  • その結果、22年の夏には北海道四国沖縄を除く7地域で安定供給に最低限必要な供給余力を確保できない見通しが示されている。
  • 自由競争したらみんな幸せになるというお花畑の発想。電力会社が甘えてるからもうみんな競争強調させるという話になっている。
  • ありとあらゆるものが競争がいいんだ自由化がいいんだということをやっている間に、日本人の生活基盤を支えているものが壊されて行っている。
  • 本当に安定的な国民生活を守るためにはどういう仕組みが必要なのかを考えなければならない。今まで先人たちはどういう思いでこういう仕組みをつくってきたのかということをしっかりと考えて改悪ではなく改善をしていく必要がある。